国民年金の将来に不安を抱いている人も多いと思います。 若者の人口減少により、年金受給者を支えられなくなると懸念されています。 人口が減って、今よりも年金受給者が増えて、それを支える現役世代が減るのも移民を受け入れたりしない限りは、人口の減少はほぼ確実です。 そう考えると、今の若者が年金をもらえないのは間違いないような気もしますが、実はそうでもありません。 国は最悪、全金額を負担して支払うとか、そもそも通貨発行権があるから問題ないとか色々言われていますが、その一つに積立金の運用がうまくいっているということもあります。
2014年にGPIFという年金の積立金を運用している団体が、運用ポートフォリオの比率を変更するという発表を行いました。 簡単にいくと株などの比率が25%から50%へと倍増されるというもので、逆に言えば、安全資産の現金や債権の比率が50%から25%へ減ることを意味します。 つまり、よりハイリスクハイリターンの投資ポートフォリオへ変更されたということになります。 当時、この話を聞いたときは、大切な年金をそんなハイリスクで運用してどうすると驚きましたが、よくよく考えるとこのポートフォリオは極めて健全で、長期で考えれば、決して間違ったものではないことに気が付きます。 投資の話でポートフォリオについて書いたことがありますが、株式と債権の比率は「100歳−自分の年齢」が望ましいと言われています。 つまり株式が50%にしたということは50歳相当の手堅いポートフォリオになるということです。 それ以前は75歳相当の超超手堅いポートフォリオだったわけで、損失リスクは相当低いが、運用益も出づらい状況下にあったということになります。 そしてこの比率変更の施策は今のところよく運用されており、2014年から21年までで、約70兆円くらいの累積運用益が出ています。2014年以前の過去7年の運用益が約20兆円くらいですので、その差は3倍以上になります。 2022年はおそらく損失が出ますので、そこまで大きくはならないかもしれませんが、それでも運用益としては悪くないのです。
で、今回言いたいのは、年金は安心ですよ、ということではなくて、確実に年金を支払い、銀行預金を続けている人も、実は株式に間接的に長期投資しているということをわかっていただきたかったのです。 個人的には一切投資をしていなくとも、実は老後にもらうことになる年金の50%は株式で運用されているのです。 逆にそうしないことには、この人口減少のなかでも年金制度の維持は難しいということにもなります。 とはいえ、うまくいっている運用も未来も必ずそうなるとはかぎりません。 今後世界恐慌が起きて、何十年も景気後退した場合は、逆方向に運用が働き、早くに年金制度が破綻してしまう可能性もゼロではありません。 しかし、仮にそんな世界中の破綻状況の中で自分だけ、日本円を握りしめていることが、どれだけ重要なことかはよくわかりません。 この投資という行為は意外と普段の生活に密接に関係しているのです。