開業奮闘日誌

(1) なぜ不動産か

 なぜ不動産に興味を持つようになったのだろう? それはもともと地理が好きだったからなのだと思う。 では、なぜ地理が好きなのだろう。 それは人に関わる物事の始まりがそこから起因していると思うからである。 なぜ日本の首都が東京になったか、どうして日本の主食が米となったか、なぜ日本人は我慢強く勤勉になったか、それらの大きな要因の一つは間違いなく日本の地理(地形や気候)であるといえるのではないだろうか。

 自分のことに振り返ってみて、なにが今の自分を作ってきたかということも同じだと考えている。 たとえば、両親なんかも非常に大きな影響を及ぼすが、彼らも育ってきた環境、文化に影響を受けていると思うし、それは住んできた土地に大きく影響を受ける。 つまり、地理は社会や人に多大な影響を及ぼすものだといえるのではないだろうか。 

 子供の頃はよく引っ越しをした。 同じ小学校でも大阪と東京では言葉がちがったり、ジャンケンのやり方が違う。 テレビコマーシャルも違えば、人気の芸能人も違う。 子供心に住む場所というのは、自分の生活に多大な影響をおよぼすと実感していた。 そんなこともあって、引っ越すとしたらどこに住みたいかとかをいつも考えていた。 当時は電車が好きだったので、絶対、特急の止まる駅がいいとか、いろいろな支線の発着点となる駅の近くがいいとか、単純なものではあったが、よく考えると、どの路線のどの駅に住むかは大人になっても重要な検討項目の一つだ。 そんなふうに現実のことだけでなく、単なる妄想でも住む場所を考えるのは楽しいと感じていた。

 大人なって、旅行をするようになると、最初に考えるのが、その土地に住むとしたらどこに住むかということだ。 中心部へのアクセス、周辺の静かさ、災害の少なさなどいろいろ地図を見ながら考えるのはとても楽しい時間だ。 そうやって、あたりをつけた場所を実際に調べると高級住宅街だったりすると、なんだかテストで答え合わせがあっていたようで嬉しい。 

 こんな土地への興味を仕事に生かせないかと漠然と思っていた。 そこから、それが不動産業であることは誰が考えても行き着く結果だと思う。 可能ならば、他人のためにそういうことを生かせることができれば最高だ。