早期退職への道

(3) これはリストラなのか?

マネープランで、最低限の生活ならばなんとか生きていけることがわかったが、このことは退職すべきかどうかの決定的な判断材料にはならなかった。ここで、もし無理だとわかったら、その時点でサラリーマンを継続するという判断になっただけだ。

 次に考えたのが、このまま会社に在籍し続ける意味である。 幸いにも会社は純白と言えるほどのホワイト企業だと思っている。 安定性、そこそこの給料、社会的ブランド力、どれをとっても申し分ないと思っている。 つまり、会社に対してのネガはほとんどないと言える。 次に、現状の仕事に関してだが、やりがいもあるし、必要とされてる感もある。 燃えるようなものがあるかと言われるとあると言えないが、これは年齢によるものも大きい。ただ、人間関係も良好で特に大きな問題もない。 会社そのものや、職場環境からは辞める理由は見当たらない。

 ただし、会社から発信されたメッセージは「辞めてほしい」ということだ。 誤解のないようにいうと、上司や周りからそう言われたり、思われているのではない。会社?人事?からのメッセージだ。 まず、そもそも早期退職者制度の設定が55歳からということ、そして決定的だったのはこの年齢からの業務評定が下がることはあっても、上がることはないと暗にほのめかされたことだった。 会社はダイバーシティを体外的にも掲げて、重点推進しており、女性やLGBT差別などは本当に積極的に取り組んでいる。 しかし、こと年齢に関して言えば、露骨なほど差別を隠さない。 一般的に、この年代がお荷物になっている事実は認める。 早期退職制度も妥当だし、評価が厳しくなることも妥当だと思う。ただし、十分に活躍している人もいるわけだから、その人には昇給昇進のチャンスは与えてほしかったと思うのだ。 会社視点で言えば、プラスマイナスあっても全体的には辞めてほしいと思っているのだろう。 ただ、一従業員の視点で言えば、明かりの見えないトンネルで惰性に逆らって進むことは難しい。 実際パフォーマンスはそれほど去年と変わらないと思っていたが、評価は落ちた。 やっぱりメッセージの解釈が正しかったのだと思う。

会社という視点で言えば、月並みだが、安定安心という安らぎをとるのか、モチベーションをとるのかの選択になった。  まだまだ、迷いは続く。