早期退職への道

(38) 早期退職制度の終了

先日、退職した会社の早期退職制度が終了したと新聞に載っていた。 制度が始まって3年で終了したことになるのだが、想定の範疇ではあるものの、それでも短かったように思う。 理由としては一定の成果ができたためとのことだが、もちろんその「成果」とは高コストの高齢社員のリストラに他ならない。 この制度は「ライフシフトプログラム」と呼ばれているように、建前はリストラを目的としておらず、人生100年時代におけるシニア層のセカンドライフをサポートするのが目的と言われていた。 つまり、これを「成果」と呼ぶならば、まだまだシニア層はこれからも出てくるわけだから、たった3年でその目的が達成されるはずもない。  わかってたことではあるが、組織の2枚舌は、恥も外聞もないのがよくわかる。 会社を辞める時に組合の役員に話す機会があったが、その時に、「これはシニアのセカンドライフをサポートするのだから、会社が制度を辞める時はそのことをきちんと抗議したほうが良い」といらぬ小言を残してきたが、役には立たなかったようだ。 結論は変わらないにせよ、ストなりなんなりで抵抗することは、健全な労使関係を保つためには必須と思われるが、完全な馴れ合い関係だったこの会社と組合では、不要なものだったらしい。 最大の原因は組合員がこのことに関して、いや、労働者の権利そのものに対して無関心、無抵抗だということにある。 一度、大きく給与体系が改悪されたことがあったが、改正案における組合の多数決は、過去にはない反対票があったものの、結果は賛成多数で承認されてしまった。 自分の給料が下がることですら、なぜか妙な物分かりを発揮して、この状況下ではしかたないと言い聞かせてしまうのだろうか。 会社側としては本当によく飼いならされた従業員だと思っていることだろう。 
 先日、池袋の百貨店が買収に反対するストライキを敢行した。 組合もそれで、買収がなくなるとは思っていないのだが、それでもやる意義があったと話していた。 私もその通りだと思う。 30年日本の給料が上がらなかった原因の一つに、おとなしすぎる労働者というもの小さくないと思っている。 日本の労働者は決して、無駄が多く、生産性が低いわけではないことはあらためて言っておきたい。