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ノンリコースローン

もう20年以上前、カリフォルニア州の不動産ブローカーの勉強をしていた時に、日本の不動産事情と違うことがいろいろあったのを思い出しました。例えば、不動産エージェントは基本的には売主または買主のどちらか一方にだけ契約するのがメインで、いわゆる両手取引はしないということ。 エスクローという不動産取引の安全性を担保するサービスが一般的なことなどがあります。 そのなかで、いわゆる住宅ローンの種類で”ノンリコースローン”というものがあったので、そのことを現在の金利上昇中の北米市場も交えて話をしてみたいと思います。 

 ノンリコースローンというのは、もしローンの支払いが滞っても、担保に入れた物件を金融機関に返還すれば、それ以上の責任を負わないというものです。 たとえば、3千万円のローンを組んだが、返済できない場合、その物件がたとえ1千万円でしか売れなくても、物件を差し出せば、ローンの責任が消えるというものです。 もちろん、その際に自己破産などする必要もありませんし、持っている財産にも影響はしません。 アメリカの住宅ローンはこのノンリコースローンが主流であり、固定金利が多いので、金利が上がる状況下でも、借りたときの返済計画が成り立っていれば、何とかなるし、最悪失敗してもやり直せるということです。 実際にはそう簡単ではないそうですが、基本的なスキームはこの通りだと思います。  この借り手にとっては夢のような制度ですが、もちろんそこには裏もあって、金融機関はその分融資額を厳しくして、金利を高くすることでリスクヘッジをするわけですから、ローンコストは日本のほうがやすことにはなります。 しかし日本の場合は、不動産業者に踊らされて高額なローンを組んで失敗し、人生を破綻してしまうことのリスクは消えません。 

 さて、皆さんはどちらが良いでしょうか? ローンコストは安いけれど、破綻の可能性があることと、コストは高いがやり直しがきくのとどちらがお好みでしょうか? 本当はどちらがというよりも、どちらも選べるのが良いと思うのですが、仮に日本でそういうことになっても誰も、ノンリコースローンを使わないと思います。 それは、銀行がリスクヘッジを取りすぎて、比較にならないくらいローンコストが上がると予想されるからです。 日本の金融機関はとにかくリスクを取るのを嫌がります。 保証会社をつけて、さらに連帯保証をつけて。。。と、どこまでリスクヘッジをすれば気が済むのかというくらいやります。 そこは、もう少し何とかしないと、金融機関としての実力が上がらないと思うのですが、どうでしょう?