投資事初め

(19) インフレ対策投資術

 昨今の日本はインフレなのかデフレなのかよくわからない状況が続いている。 データ的にはインフレなんだろうけど、マインド的にはデフレ感覚が抜けきらない。 ただ、世の中の潮流からすれば、今後はインフレ傾向になる可能性は高いといえる。 インフレというのはお金よりも物の価格が上がることを意味しているわけだから、お金が目減りしていることを意識しておかなくてはならない。 イメージ的には、銀行にお金を預けていると毎月口座維持手数料を取られているような状態だ。 日本では口座維持手数料を取るところはほとんどないないと思うが、海外ではある程度の預金がないと口座維持手数料を取られるのは当たり前だ。 で、皆さんに聞きたいのだが、毎月100円を口座維持手数料で取られるとしたら、そのくらいは大した額ではないのでほっとおくか、それとも、それを回避する行動(たとえば、ある程度の預金を積むとか、銀行そのものを変えるとか)するだろうか? 私の勘では、ほとんどの人が金額の大小にかかわらず、毎月一定額が減ってしまう現実に耐えられず、何らかのアクションを取るのではないだろうか?  政府が目指す実質2%のインフレ状態とは 100万円の商品が2万円ずつ毎年値上がりする状況ということであって、お金目線でいえば、毎年2万円ほど減少指定していくことと同義である。 つまり、インフレ目標の2%といえば、100万円の預金で、毎月1,700円近くの口座維持手数料を取られているのと同じことになる。 これでも、皆さんは何も対応せず、預金をしつづけますか?

さて、ではどうすればよいかということですが、簡単な方法は、お金ではなく、インフレで上がることになる”物”を保有することということになる。 代表的な”物”といえば、金などがあげられると思う。 現物でも、金相場に連動するETFのようなものでもよい。 そういうものをポートフォリオに加えるのは、今後のインフレが期待される中では大事な考え方だと思っている。 つい最近金は1グラム1万円を初めて突破したとの報道もあるし、今後も上がる可能性は高いと思う。 しかし、金もあくまでも相場なので、下がることもあるわけで、それが金などに投資することを躊躇させるのだというのは理解できる。 しかし、もう一度言うが、現金も相当高い確率で目減りするのだ。 どっちを取るかということではなくて、両方を持ち合い、リスクを最小化するということなのだ。

 最後に、金についてもう少し、金は現金や株などと違って、現物という目に見えて、手に取ることのできる実態がある投資商品である。 これを逆手にとって、自分やパートナーに金の装飾品をプレゼント、いや、譲渡するのではなく、保管をお願いするのはどうあろうか? もちろん、自分で保有する、つまり指輪やネックレスを身に着けるということなのだが、それだけで気分も上がるし、いざという時のインフレ対策にもなる。 また、パートナーに「保管依頼」をすれば、もらったほうもうれしいし、お互いの関係向上の一助になるかもしれない。 この場合の注意点は、購入直後は間違いなく、価値が下がるということを覚悟することと、素材としての価値を高めるために24Kなどの純度の高いものを選ぶほうが良い。 購入直後が価値が下がるのは、販売業者のマージンが乗るためで、それは非常に高い株式の販売手数料のようなものだ。 つまり、この金現物投資は、短期投資には向かない。 5年、10年という単位で楽しみながら、リスクヘッジをするものだ。 まぁ、最悪下がったとしても、日常で楽しめるのでよしとするのがこの現物投資のだいご味だ。 

 そういう意味でいうと、不況時にもあまり価値の下がらず、年々貴重性を増して上がり続けるものに、アンティークやビンテージものなんていうのもある。 例えば、エレキギターのビンテージものなどは優に1千万円を超えるほど値上がりしているものも珍しくはないし、物を選べば、リーマンショック時にも値を下げなかったといわれている。 ビンテージものが強いのは金と違って、新たに掘り出すことができないことで、確実にその数は減り続けるわけだから、値が下がりずらいということになる。 楽器が趣味の人は持っているだけで、所有感も、演奏も楽しめるわけだから、投資うんぬんを度外視しても決して損にはならないだろう。 クラシックカーも悪くないが、車は維持費がかかるので、パフォーマンスは落ちる可能性が高い。 場所を選べば古民家だってあるかもしれないが、これも維持費がかかる。 皆さんなりの、”物”投資、考えてみてはいかがでしょう?