開業奮闘日誌

(29) 業界の洗礼

 実はここのところ、毎日のように事務所に電話がかかってくる。 とはいえ、お客様からの問い合わせは一件もなく、ほとんどが不動産業界や会社設立に絡む業者からのものだ。 「看板を作りませんか?」「コピー機は必要ありませんか?」など、電話だけでなく、郵便物も多い。 まさか、このホームページ を見て問い合わせをしてきたわけでもないのだが、宅建業は免許交付と同時にその情報が公開されることになるので、それを見て接触してくるのだろう。 そんな中で、先日あるポータルサイトの営業が話をしたいというので、会ってみることにした。 

 提案いただいた内容は不動産業をやる上ではかなり重要なものと理解はしていたし、できることならば入会したいのだが、そもそも売り上げの立つ見込みもない弱小不動産屋にはまだ、時期尚早なのだ。 まぁ、どちらが先かの、「にわとりと卵」状態ということも理解しているが、通常の不動産がやっていくであろう道筋では、金もコネも経験もない会社では太刀打ちできないと思っている。 だから、地道に色々な活動をしていくことにしている。 そうして、少しづつお仕事もいただければ、次のステップでは必ず必要となるのだが、いまはその時期ではない。 帰り際に”企業登録”だけでもしてもらえないかと言われたので、特に複雑なものでなければ構わないと伝えたのだが、実際に入力していくとおかしなことに気がついた。

 普段、個人的に何かのサービスに入会する時は、長文かつ詳細すぎる”同意事項”は大して読みもせずに同意してしまうのだが、法人の場合は個人のように消費者保護が適用されないので、その注意事項をじっくり読んでみたのだった。 すると、おどろいたことにそこには入会することの同意、そして料金発生との文言が書いてある。 つまり、”企業登録”なんて気軽なものではなく、通常の入会申請だったのである。 なにかの間違いかと思い、その営業にメールで問い合わせるも返信はなし。 いつもの通り、ポチポチと手続きを適当にやっていたらと思うと、恐ろしく思う。 なかなか手強い業界にに入ったかもと、心を引き締める良い機会となった。