Topic

お金が使えない!?

 先日、日本FP協会の継続教育研修会というものに参加してきました。 今回初めて参加したのですが、中規模のコンサートができるようなホールに、コロナ対策で間隔を開けつつも結構な人数が埋まるくらい参加してました。 公演が2本立てになっており、その中で最初に行われた、『人を中心に見る経済とは』という田内さんという講師のお話が興味深かったのでそのお話をしたいと思います。

 今回の話の一番のポイントは、個人視点ではなくて社会視点で「人」に注目して、経済を考えるということになります。 例えば、日曜日に遊ぶためにお金を貯めることは、個人の視点で正しいですが、もし、全員がそれをやったとすると、誰も働かなくなるので、日曜日にお店もやっていなければ、物も買えない状況に陥るということです。 ついつい、自分視点の個人視点に陥りがちですが、そう言われるとその通りで、考え方が新鮮でした。 とはいえ、現実にはそういう状況は起こり得ないのですが、完全に何もできないことはなくても、働き手がいなくて、ニーズはあるのに、サービスを提供できない状況は既に起こりつつあることだということは理解いただけると思います。 以前、ファミリーレストランに行った時に、空席は目立っていたのに、入店を拒まれることがありました。 なんでも、アルバイトの数が足りないということで、人数制限をして営業しているとのことでした。 普通はどうやって集客するかだけをサービス業では考えると思うのですが、これからはどうやってサービス・商品を提供するかが重要になるかもしれないということです。

 このことをもっと時間軸を長くみていくと、日本は人口が減少し、少子高齢化が進んで、働き手がいなくなることは、今の状況が継続するとほぼ間違いのことだと思います。 経済の先行きは読めませんが、人口推移はほぼ間違いなく予測どおりに推移します。 さて、この状況下でどのようなことが考えられるかというと、仮に計画的に貯金や投資で蓄財し、65歳で2,000万円貯めることができたとして、年金と合わせて悠々自適の生活を送ろうとしても、旅行へ行くにしても、旅館や交通機関を運営する数が限られ、予約が取れなかったり、人手不足から来る物価の高騰で、安全圏と言われた2,000万円が全く十分な額ではなくなりする可能性があると言うことです。 そして、結局65歳以降も働かざるを得ない状況になるかもしれないということです。 講師は”年金問題” はお金の問題ではなく、将来の生産力が足りなくなることと断言していました。

 このことの解決方法は、首相のいう、異次元の少子化対策か、移民の受け入れかはわかりませんが、どれもなかなか難しい問題を孕んでいると思います。 個人的には人口が減ることそのものではなくて、労働人口が減ることだと思うので、否応にかかわらず、働かざるを得ない状況になるのではと思っています。 とするならば、労働そのものが、やりがいがあって楽しいものの方が良いと思うのですが、皆さんはどうお考えでしょうか? すでにリタイヤした方は逃げ切れる世代かもしれませんが、2040年にはこの人口問題は相当深刻化すると言われています。 そう、あとたった15年でそういう状況に陥るかもしれないということです。 本来働くことと言うのは、だれかを幸せにする行為に他なりません。 決して、有意義な老後と相反するものではないと思うのですが、どう思われるでしょうか?