投資事初め

(16) ファンダメタル分析

株の分析手法には大きく分けて、2つの方法がある。 ファンダメタル分析とテクニカル分析だ。 この2つは名前だけ見ても何のことだかはよく分からない。 ただ、理解をすれば全く難しいことではない。 ファンダメタル分析とは会社の状況・状態を調べることであり、テクニカル分析は株価の上下(チャート)を調べるということだ。 このうちファンダメタル分析は、検証する項目が多岐にわたっているが、もっとも重要なのが企業の財務諸表であり、いわゆる損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー(CF)の3つのことである。 社会人であれば、一度はPLやBSの勉強をしたことあるかもしれないが、難しく考えすぎて、理解できていない人も多い。 今日はPLとBSの概念の簡単な理解の仕方を紹介したいと思う。

 わたしが教わった一番理解しやすい考え方は、専業主婦予定の女性が結婚相手を選ぶときのことを考えれば良いというものだ。 では、始めてみよう。 実際は外見や性格などが重要だが、ここではその人の経済力だけに注目することは、あらかじめ断っておく。
 さて、普通はまず最初に、「この人どこくらい稼ぐんだろう」と思うのではないだろうか? 年収が500万なのか、1000万オーバーなのか、これはとても注目される数字である。 では、年収が高い人が経済力があると言えるだろうか? 例えば、年収は1000万円あっても、ギャンブル好きで毎月のお給料があっという間に競馬や競輪に消えてしまう人ならば、年収500万円でも、堅実に生活する人の方が良いかもしれない。 ここでいう、年収がPLの売り上げであり、どのくらい毎月お金を使っているかが、費用ということになる。 つまり売り上げから費用を引いた利益が大事だということがわかると思う。 年収から生活費を差し引いた額が大きいほど、経済力が高いと言える。 が、これだけで大丈夫だろうか? 

 先ほどの例を引用して、年収1000万円で貯金や節約をきちんとして毎年半分の500万円を貯めている人がいるとしよう。 10年も経てば5000万円の貯金ができるので、かなり有望だと思われるが、実は3億円の借金を抱えていたとする。 するとこのせっかく貯めた貯金が借金の返済でなくなってしまう場合もある。 つまり、いまどれだけ借金を抱えているかは経済状況を把握する上で非常に重要だ。 これがBSでの”負債”に相当する。  ところが、この人は実は親から遺産でタワーマンションと都心に投資マンションを持っていたとすると、また状況が変わる。 先の借金は投資マンションのために銀行から借りてきたものだとすると、単なる悪い意味での借金ではなくなるからだ。 ここでいう、タワマンや投資マンションや貯蓄などがBSでいう”資産”にあたり、親からの遺産の額が”純資産”となる。 こう考えると、親からの相続(純資産)と銀行からの借入(負債)の合計で、タワマンや投資マンション(資産)を買ったことになるので、BSの貸方である”負債”と”純資産”の合計と”資産”が等しくなるのも理解できるだろう。 

 こうやって、結婚相手の経済力を図るのだが、これがまさに企業の業績を調べるのと同じ仕組みになる。 毎年いくら稼ぐのだろう、今借金はどのくらいあるのか、どのくらい資本金があるのか、そして、今どんな資産を持っているのかとこのくらいを調べておけばあらかたの経済状況を把握することができるのが理解できたと思う。 こんなざっくりで構わないので、財務諸表に馴染んでもらえると、投資だけでなく、自分の会社がどういう状況にあるのか、それは他社に対して競争力のあるものなのかをわかるようになってくる。 あまり、細かい数字は置いておいて、まずは売り上げと費用の差である利益と利益率をPLから読み取り、負債と純資産の比率をBSで把握する。 それを過去の5、6年の推移を見ていけば、会社がざっくりどんな状況かわかると思う。 投資をする方もしない方も一度はやってみるをお勧めする。