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最低賃金

 最低賃金の引き上げの議論が厚生労働省で大詰めを迎えているとの記事を見ました。 雇われる立場からすると、最低賃金は高ければ高いほど良いのですが、雇う側からすると、その逆のことが言えると思います。 では、最低賃金はあげるべきなのでしょうか、それとも現状維持、もしくは下げるべきなのでしょうか? この疑問はおそらく簡単に解ける問題ではないと予想できます。 少し、いろいろな立場の人のことを考えてみたいと思います。

 まずは、一般的な会社員からです。 会社員の給料はこの最低賃金と関わりはありません。 厚生労働省で最低賃金が上がろうとも、自分の給料は変わることはないからです。 では、全く関係のない出来事かといえば、そうでもありません。 最低賃金が影響する職種はいわゆるアルバイトと呼ばれる領域で、飲食店の店員、サービス業のスタッフなどが当てはまります。 つまり、普段利用してる様々なお店やサービスで働くアルバイトの給料が上がる、いいかえれば人件費が上がるということになります。 そうなると、普通は商品やサービスの質を下げるか、または値上げするかの対応を取ることになります。 そうなると、会社員は自分の収入が増えないのに、商品やサービスが悪化するか、値上がりを受け入れるしかなくなりますから、あまり良いことにはなりません。

 次にそういったアルバイトに従事する労働者ですが、最低賃金が上がるので、収入がダイレクトに増えます。 これほど、この制度のメリットを直接享受できる人はいません。 ただし、ある程度大規模な勤務先であれば、個人の時給が上がった分、バイトの人数を抑えることで対策を取る可能性があります。 そうなると、最悪働き口を失うということになりかねません。 また、学生などを想定したアルバイトをしている人は、やはりそういったサービスや商品を購入する割合が高く、富裕層よりも値上がりの影響を受けやすいとも言えます。 うーむだんだんアルバイターたちも両手をあげて喜べなくなりましたね。

 最後にアルバイトの雇用主です。 単純に考えれば、コスト増なので、経営にメリットはありません。 価格に転嫁すれば、売上高に影響が及ぶし、商品やサービスの質を落としても然り。 利益を減らすのも避けたいと考えれば、彼らにとってのメリットは感じられません。 

 とりあえずの、3つの立場だけですが、いまのところ大喜びできる人は見当たりそうにないですね。 では何のためにやるのでしょうか? よく分からなくなってきましたね。 これが最初に言った”簡単に解ける問題ではない”ということなのです。 これだけでなく、経済の問題はほとんどが簡単ではないと思います。 日本はずっとデフレだったことが問題視されて、やっとインフレになってきたら、それはそれで問題だと騒ぐ。 では、一体どういう状況が理想かといえば、2%のインフレというのが一般的な常識だ。 本当にそうなのだろうか? 消費者の立場からすれば、デフレでもインフレでも構わないので、支払いコストよりも、収入の伸びが高ければ良いはずです。 収入の伸びが高ければ、雇用主のコストがかさみ、商品の値段が上がる。 商品の値段が上がると、消費者の支払いコストが上がると、堂々巡りをしてしまいます。 そう言ったことを理論的に計算にいれて、導き出されたのが、2%のインフレだと思いますが、その理由を明確に理解している人はわたしを含め多くないはずです。 この話の問題点はそこだと思うのですが、皆さんはどうおもいますか?