早期退職への道

(20) DCの移管手続き

退職するといろいろ面倒な手続きがやってくる。 やってくると書いたのは文字通り、会社からそれぞれの手続きに必要な書類が順次送られてくるからだ。 最初に送られてくるのは離職届で、これは雇用保険(失業保険)の手続きに必要な書類で、これをもってハローワークに行くことになる。 そして、その後に国民年金の手続きのための”退職証明書”と、企業型確定拠出年金DCの資格喪失の案内が来ることになっている。 次々と、人生で初めてのイベントがやてきて、退屈させてくれない(皮肉) さて、今日はDCの移行手続きの話だ。

 退職すると、いままで積み立ててきた企業型確定拠出年金(以降DC)はもちろん、退会することになる。 次に就職する企業がある場合はそちらへ移管すれば問題ないが、そうで無い人は自分で個人型確定拠出年金(以降iDeCo)へ移管手続きをしなければならない。 仮にそれを放置しておいておくと、国民年金基金連合会というところに自動移管され、運用もされず、毎月手数料(少しだが)とられていくことになる。 で、iDeCoへ移管することになるのだが、これがなかなか悩ましい制度なのだ。

 iDeCoは運用して得た利益には税金がかからないというメリットがある。 これは、投資でいえばNISAのような効果があるので、非常に有意義だが、NISAとちがってこの資金は60歳まで受け取ることができない。 50代での早期退職ならば、資金拘束される期間は10年以下なので、それほど大きな問題とならないが、若い人は結構大きな問題となる。 繰り返すようだが、ただ運用益の課税が無いのはやはり大きなメリットだ。 これで、話が済めばややこしく無いのだが、ややこしいのは、受け取り方によっては払う税額が変わってくることだ。 
 一括で受け取る場合は、退職金扱いとなり、退職所得控除の対象となる。 ここでは細かい内容は省略するが、この控除額をフルに利用できるならば、積立た元本分は税金がかからない。 ただ、ある程度の退職金が支払われる場合は、控除がきかない部分が残ることになる。 これには税金がかかる。 年金扱いとして貯めてきたものに、税金がかかるのはなんとも殺生な話に聞こえるが、よくかんがえれば、この元本はそもそも所得税払わずに得たお金を積み立てているので、後で課税されると考えれば、納得できないわけでは無い。 とはいえだが。。。

 次に年金で受け取る方法があるが、これも一定額以上は税金がかかる。 つまり、一番良い出口戦略は
1. 退職所得控除無いならばそれを活用して一括受取
2. 1をオーバーした分が無税範囲の年金ならばそれと併用
3. それでも余るならば、無税額の年金を受取り、残りを一括で受け取る(税金はかかる)
となるようだ。

 現段階は出口戦略では考える必要はないが、それを見越して運用額を決めなければならない。 そして、ほとんどの人が採用するであろう”出口戦略”である「出口の時に改めて考える」を選択することになる。

【追記】 退職証明書は会社の総務に問い合わせて初めて送ってくれるものとわかりました。 年金事務所に問い合わせると、急ぎの場合はPDFをプリントアウトしてもよいとのこと。意外と融通がききます。

写真:Steve BuissinneによるPixabayからの画像