投資事初め

(3) ゴミ投資家

前回ごみ投資家シリーズという本があったことを紹介したが、今回はそのゴミ投資家から話を始めたいと思う。 正確な数字は忘れたが、せいぜい300万円くらいしか自由に動かせる金融資産しか持たない投資家のことをゴミ投資家と呼んでいた。 今では、そういった“ゴミ投資家“はむしろマジョリティの部類にはいるのでははないと思うが、当時は投資家といえば、正真正銘の金持ちのことを指していたので、そういった”ゴミ投資家”は極めてマイナーな存在だった。 思い返せば、証券会社の営業をやっていた父親の顧客はほとんど○○社長と呼ばれていた。 今ほど、投資額の小さい商品は多くないし、なによりも手数料が高いので、少額投資が割りに合わない時代だったのだ。 そんな環境下で、当時から1株から買えて、ネットに特化し、手数料が割安な証券会社が存在する、米国投資はとても魅力的に映った。米国には日本と違って手数料の安い、運用成績の良い投資信託がたくさんあり、そいうところに投資していくという提案がなされていたわけだが、影響を受けたのはその提案そのものではなく、金融という世界のしくみをいろいろと紹介してくれた記事に影響を受けたのだった。 

 この本には、金利や複利のことや、さまざまな金融商品のデリメリ、持ち家VS賃貸から住宅ローン、保険など、金融に関することは様々なことが、ありきたりの説明ではなく、超合理的に理論立てて説明してくれるのであった。 住宅ローンがレバレッジを効かせて、ハイリスクハイリターンを狙うことだというのは、当時の私には衝撃の言葉だった。 つまり、先物商品やFXなんかと同じで、手持ちのお金以上の金融商品を購入することに他ならないということだった。 バブル崩壊までは、こんなことを知らなくても、不動産が上がり続けてきたので、なんの問題もなかったので、こういうことを知らない人が大半だったのだ。 ただ、その傾向は今も同じで、大多数の人は持ち家神話を信じて、とにかく人生で買うべきものの最右翼としている人は少なくない。 

 で、このごみ投資家シリーズを読んでいくと、株というものは思っているほど危険なものではなく、やり方さえ間違わなければ、むしろやらないリスクのほうは大きいことが理解できるようになる。 そこで、もっとも堅実でそこそこのリターンを望める投資方法が、有望な個別の銘柄に投資するのではなく、市場そのものに投資する投資方法、つまり日経平均などのインデックス投信が最適ということを知ることになったのだ。 

 そのゴミ投資家シリーズは、海外投資だけでなく、その先の税金天国、そしてPTへと続いていくのであった。 PTとは居住地を固定せず、数カ所の住まいを全世界に分散させ、特定の国に税金を支払わないという、当時は合法の生き方だった。 たしか、大橋巨泉はこれを実践していたので、カナダと日本を期間を設けて交互に暮らしていたかと記憶している。 話はそれたが、そんな世界にも憧れを抱き、最初のステップのである海外に銀行口座、もっと言えば、ケイマン諸島などのようなタックスヘイブンに口座を開くことを考えてみたが、どんどん忙しくなる仕事に追われ、結局はやらずじまいに終わった。 最近になって、意味もなく米国に銀行口座を作ってみたが、海外投資も、外貨預金も国内のサービスでできてしまう現在においてはあまり役に立たない。 マネーロンダリングの規制が強化されるたびに、タックスヘイブンの妙味がなくなっていく気がするが、本物のお金持ちにとっては私の知らないメリットがあるのだと思う。 記憶を辿って書いているので、時代が前後して辻褄が合わなくなっているかもしれないが、過去にやってきたこととして大目に見てほしいい。 以降で、この日本のインデックス投資のことやFXについても書いてみたいと思う。