開業奮闘日誌

(2) 物件探しの方針

東京でアパートを探すとしよう。 会社や学校の場所、知人の住んでいる場所、話題の街みたいなところから、自分が住みたいエリアを定める。 そして、その中にある物件の中で、自分の予算とクオリティにあった物件を選ぶのが普通ではないだろうか? つまり、最初にエリアありきなのだ。 ここが前から違和感のあったところで、一見、全く違うAとBのエリアなのだが、自分にとっての共通点がある場合だってあるはずである。 宇都宮へ転勤した時のことだが、借り上げ社宅の選定で、総務からどんなところに住みたいかの希望みたいなのを聞かれて、宇都宮の繁華街に近い場所と陶器で有名な益子周辺を希望したら、どんなところが希望しているかわからないと言われ対応してもらえなかったことがある。 確かに、エリアが大きく違うと物件が絞り込めず、選ぶ方としては困ってしまうのは理解できる。 ただ、私としてはどこというよりも、休日に街から文化的な刺激を受けられる街に住みたいという希望であって、それにふさわしそうなエリアを言ったまでにすぎない。 人は自分のライフスタイルをなんとなく想像して、それが満たされるエリアを選定していることが多く、そういう意味で、エリアを先に定めてしまうのはちょっと順番が違うと思うのだ。 もちろん、東京とか大阪とかの大きなエリアは物理的に決まるのだろうが、駅や沿線などの狭いエリアはもう少し選択肢を多くして検討する方が良いと思っている。

たいていの不動産屋ではまず、どの辺に住みたいかの希望を聞かれる。 そしてその駅周辺の物件を2、3提示されることが多い。 そうではなくて、例えば一つの物件は駒澤大学駅周辺、もう一つの候補は光が丘、さらに武蔵小山と、エリアの異なる3つの候補を提示するのも良いのではと思っている。 これらの物件の共通点は、どれも大きな公園の近くということだ。 だから、物件の選定には時間がかかる。 効率が良いとは言えない。 でもそれが付加価値だと思っている。 そのためにも、東京についての引き出しはいっぱい持っておかなければならない。 逆を言えば、地域密着、地元に強いという看板は不要だと思っている。

これから、いろいろ考える中でこの方針も変わるかもしれない。また、もっと付け加えるかもしれない。 ただ、スタートとしてはこれを軸に持って考えていきたいと思う。

写真:Gerd AltmannによるPixabayからの画像