闘病記(骨盤&肘骨折)

(1) 自転車転倒から骨折入院への道のり

2022年2月5日 土曜日 入院初日

久しぶりのサイクリングだった。 11月に副鼻腔炎の手術を受けて以来、自転車には外で乗っていなかったので、おそらく半年ぶりくらいになるだろう。 今日はチームの仲間とエロイカごっこということで、古めの自転車を持ち出して、河川敷のダートをチャレンジした後の、帰り道の出来事である。

 帰りは北風が追い風となり、非常に気持ちの良いスピードで巡航することができたので、サイクリングロードを降りた時は心地よい疲労感に襲われていた。 そして、大きな交差点の横断歩道を渡ったときのことだった。 何か金属ぽいものが下から飛び出てきて、ぶつかったような硬い衝撃を受けたと思ったら、すでに歩道にうちのされていた。 とにかく痛くて苦しくて、吐き気をもよおす感じは、まさに骨折を予感させる。 この感覚は初めてではないので、骨折は覚悟したが、それ以上でないことも、なんとなくわかる。 何度もこういう怪我をするのも良かったのか、悪かったのか、痛み具合で大体の状況は把握できるようになった。 こういう場合はしばらく、痛みが落ち着くまでは深呼吸しながら冷静になることだ。 幸い、転んだのは歩道だったので、車との接触の危険性はないし、今回は同行している仲間もすぐに気づいてくれたので安心だった。 少し、呼吸が落ち着いてきたので、ゆっくり立ってみて、どこが動くのか確認しみる。 指は動くか、手首は動くか、足先は大丈夫かと確認していくのである。 これはバイクに乗っていた時に教わったやり方だ。 事故直後は極度の緊張のためか、どこが痛いかよくわからないため、部分部分動くかどうかを確かめていくと、どこを怪我をしたのかがわかる。 結果、右足の付け根と右肘が痛いことがわかった。 ただ、その時点ではまだそんなに痛い感じがしなかったので、とりあえず、向かいのマックまで移動することとした。 すると、歩こうとして、右足に体重が乗った瞬間に激痛が走った。 直感的に大腿骨と骨盤のジョイント部に問題があること悟った。 なんとか、自転車を杖にして、歩道を渡り、マックに入ったのだが、右足が踏み出せないので、とにかく歩けない。 また、それを右手でカバーしようとしても、右肘が痛くでそれも叶わない。 そこで、子供用のキャスターの椅子に目をつけ、これを杖代わりにしてなんとか席についた。 まさか、チャイルドシートがこんなに役に立つなんて思わなかった。 とりあえず、自転車屋の人が迎えにきてくれるとのことで、それに甘えることにした。 自動車に乗るのも一苦労だったが、なんとか乗り込んで座ってみると、特に痛みはなかった。 とにかく荷重がかかると痛いということがよくわかった。

 自宅に着いてからは迷わず救急車を呼ぶことに決めた。 到着するまでの間に、サイクリングウェアを着替えることと、トイレに行けたのが大きかった。 この後4時間以上トイレにいくことはできなかった。 救急車は間もなく到着したが、その後の受け入れ病院探しが難航した。 自宅は病院の少ないエリアではないが、それで周辺は全て断られ、2時間以上探してもらって、やっと決まったのはGoogle map での評価が2.3と超低評価の病院だった。  救急隊とのやりとりを聞いて面白かったのが、最初に1万円を預かるがそれでも良いかと言うことを聞いてきた。 もちろん大丈夫だが、ダメと言ったら受け入れを拒否したのだろうか? 世の中なんでも金次第かな。30分くらい走っただろうか、到着したのはすでに日が沈んでいた。 

 病院に着くと、まずはレントゲンとCTの撮影。 普段ではどうということのない姿勢がたまらなく痛い。 歯医者でも声を出したりしないが、これはまた別物。 ギャーギャー言いながら、なんとか撮影を終えた。 その後の医師の診断は右肘の骨折と骨盤の骨折。 右肘はレントゲンでも骨がずれているのがはっきりわかる。 この状況は筋肉に骨が引っ張られているので、このままにしておいても骨がくっつくことはないそうだ。 なので、右肘は手術を行い、金属で骨をくっつける。 また体内に金属が埋め込まれることになり、これが2箇所目となる。 骨盤は大腿骨が骨盤を突き上げ、その衝撃で折れたとのこと。 つまりジョイントの受け側にクラックが入った状態。 こちらはこのまま自然治癒だそうです。 痛みはどちらかというと骨盤の方が痛く、ベットを移動する際とかは気絶するほどの激痛を伴う。 CTとか狭いところに入ると、パニックになったりするので、心配だったが、顔が出ているので大丈夫だった。

 まだ、毛染めをしている最中の妻にそのまま来てもらい、とりあえず隣のスーパーで食べ物と最低限の必要なものを買ってきてもらう。 外科の場合食欲はあるからやっぱりお腹はすく。 基本的にはベットでの安静ということで、トイレにすら行けない。 小便は尿瓶、大便はおむつとのこと。 小便の尿瓶は初めてだったが、やってみると結構簡単ですぐに慣れた。 いちいちトイレに行かなくていいのは楽だとさえ思った。 ただし、大便のおむつはいただけない。 未だ、トライしていないが、できる気がしない。

なんとか、大便の時くらいトイレにいける状態にしたいものだ。

 病院は6人部屋、4人部屋と個室の3種類あるがどれにすると聞かれた。それぞれ無料、4千円、2万円とのこと。 今回の事故でおそらく傷害保険が使えると思うが、それがどれほどの保証をしてくれるかわからないため、とりあえず6人部屋にしてもらい、確認が取れたら変更することにした。 6人部屋も4人部屋も大差なく、変えるならやっぱり個室がいいが、結局こういう値段になり、これでは普通の医療保険では賄えない。 やっぱり医療保険って役に立たないと改めて思う。 10年前のオートバイでの事故の時それを痛感したので、同じ掛け金を貯金することにして、医療保険を解約し、自分保険を作っておいた。 こんなに早く使うことになるとは思わなかったし、自分の金だと、部屋のランクで贅沢する気には慣れない。 11月に副鼻腔炎の手術をした時に、会社に申請した高額医療費の保険がまだ適用だったのは良かったと思う。

 病室で看護婦からインタビューされ、その後ベットへ移動するのだが、とにかく姿勢を変えるのが痛い。ついつい、声を出してしまうのだが、時間はすでに8時ころ、婦長さんらしき人から、他の患者さんに、迷惑がかかるので静かにしてくださいと注意されるが、それは無理というもの。 そのまま、それは無理というと、ムッとした表情をされ、扱いがさらに荒くなり、また叫んでしまった。 その人以外はとても親切で良いのだが、こういう人の対応で、病院の評判が悪いのではと勘繰ってしまう。 もう一度言うが、医師も事務もほとんどの看護師も普通に良い対応をしていただいている。 今のところ。。。

 今はコロナ禍と言うことあり、面会は一切できない。 付き添いで来てくれた妻も受付までで、病室までは入ってこれない。 面会ができないということは、近親者がやっていた身の回りの世話も、看護師がやらねばならず、現場の負担は増えるばかり。 コロナはそれ自体も問題だが、とにかく医療体制そのものバランスが崩れていく恐ろしさを体感することになった。 特に、病院選定に関しては、もし一刻を争う病状だったら、おそらく救急車の中で息絶えていただろう。 消灯は9時。 寝れないと思ったが、意外とよく眠れた。

写真:AndersAndersenによるPixabayからの画像