早期退職への道

(1) 早期退職制度

2020年の暮れ、日本経済新聞のある記事に目が釘付けとなった。

「21年4月から早期退職優遇制度 55歳以上」

どこかの企業と資本提携とか、そういった情報は会社からよりも日経のほうが早いことが多い。 そして、その数日後に社内で正式なアナウンスがあることにはいまさら驚いたりはしない。 しかし、この記事の内容はなんとなく考えていた、「会社からの卒業」を急に現実なものとなり、自分自身その覚悟がまだまだ全然足りていないことに直面させられた。

以前から、仕事は生きている限りできるだけ長くやりたいが、会社は少なくとも60歳には卒業したいと人に言ってきた。 そして、次はこの会社以外の会社に勤めるのではなく、自分で何かをやってみたいとも言ってきた。 だからこそ、一つの選択肢として二年前に宅地建物取引士の資格をとっておいたのだ。 不動産屋を始めるのか、それとも小さな喫茶店でも始めるのか、決めていたわけではないが、何かあったときの選択肢として取っておきたかったのだ。 そして、それを現実に選択するタイミングが突然訪れたというわけである。

 いつ卒業するかは、住宅ローンが鍵かなとも言ってきた。 このペースで行けば58歳くらいには完済できそうだったので、そのころが一つの目安かと思っていたが、今回の早期退職制度は想像していたよりも条件が良く、その”鍵”が目の前に提示されているのである。 金額だけでいえば、住宅ローンを完済させても、まだまだ余裕である。 ただ、正直それ以外のことは全く知識がなく、会社をやめるとどういう状況になるのかがわかっていなかった。

決断までの時間はまだある。 まずは現状把握と辞めた場合の大雑把な金銭的なシミュレーションをやってみることにした。